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こぶし通信 57号 2023年8月発行
温故知新 ~こぶしの会の20年とこれから~
社会福祉法人こぶしの会 理事長 坂下伸一
温故知新
「温故知新」という四字熟語はみなさんご存知でしょう。「論語」という本からとったものです。言うまでもなく「論語」は中国の儒教の祖である孔子が弟子たちに話し聞かせた言葉を集めたものです。「温故知新」は、「論語・為政篇」に「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知らば、以って師と為るべし」とあるところから引いたものです。
この言葉は、「過去の出来事や理論にしっかり学ぶことで、新しい知見や解釈を導きだせる。そして、そのことを自分の師、道しるべとすること」という意味だそうです(諸説あり)。何かを始めたり、物事に行き詰ったりした時に、やみくもに新しいことにのみを追い求めたり、前へ進んだりするだけでなく、過去のことを深く学び直すことによって、より一層見えてくるものがあるのだと指摘しているのでしょう。
20周年記念行事
3月26日の日曜日に、社会福祉法人こぶしの会設立20周年記念行事を行いました。申し訳なかったのですが、コロナ禍ということで、仲間・家族・職員のみの集まりとしました。
記念行事では、仲間や職員からはもちろん、藤井前理事長、藤森後援会長、高橋家族会会長など、こぶしの会に尽力してくださったみなさんに挨拶をしてもらいました。そこには、20年間の懐かしい思い出とこのこぶしの会への願いや期待がたくさん語られました。
(なお、当日、参加できなかったみなさんには、この通信の多くが20周年記念行事の記事となっていますので、読んでいただければと思います。)
これからのこぶしの会
20周年記念行事を終えて、私自身が改めて考えていかなければならないと思ったことがあります。それは、
1.わたしたちは、障害のある人々が主人公という立場を大切にします。
2.わたしたちは、なかまひとり一人が豊かな人生を築いてゆける施設づくりに務めます。
3.わたしたちは、いつも明るい未来をめざして事業と運動に創造的にとりくみます。
4.わたしたちは、なかま、職員、市民、行政の共同のもとに事業の民主的な運営をはかります。
5.わたしたちは、ここに生まれてよかったとだれもが思える地域づくりをすすめます。
という設立当初から確認してきた「こぶしの会の理念」についてです。今や当たり前で、古臭く映っているかもしれないですが、20周年を過ぎた今こそ、再度この5点を深め直し、これからの指針にしなければならないと…。
平和を脅かすような動き、コロナ禍、そして障害者福祉の制度的課題等々、障害のある人たちにとって厳しい状況の下で、こぶしの会が、なかまの生活を支えるために、これからどのように進んでいくのか。こぶしの会やそこに関わる私たち一人ひとりが「温故知新」という姿勢で、設立当初の理念に立ち戻り、新たな未来を築いていく必要があると強く思っています。