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こぶし通信 55号 2022年8月発行
「飲酒の科学」という本から学ぶ
~物事を変えていく力は、本質や仕組みを認識・理解することから~
社会福祉法人こぶしの会 理事長 坂下伸一
私の趣味?のひとつに、本屋、古本屋まわりというのがある。若いころは、大阪の難波や梅田へ出かけ、一日、本屋や古本屋をまわって過ごすことも少なくありませんでした。本を買うことはあまりなく、立ち読みをしたり、「こんな本が出ているのか」「この人はこんなことを書いているのか」等、妙に納得したりして、満足して帰宅するというパターンでした。しかし、コロナ過で大阪の本屋や古本屋に行くことも、とんと無くなってしまいました。
本「飲酒の科学」を読む
前置きが長くなりましたが、つい最近、ふらっと本屋に立ち寄ると「名医が教える『飲酒の科学』~一生健康で飲むための必修講義」(葉石かおり著、日経BP出版)という本が目につきました。帯封に「コロナ過での酒の付き合い方が激変」「最近お酒に弱くなった」などの宣伝文句にも惹かれてしまいました。人と一緒にお酒を飲むことが好きな私にとっては、これは必読書と思い、すぐに本を買って、読み始めました。
著者の葉石さんは、大の酒好き、自分のそばにはいつも酒があり、酒を飲みながら多くのことを語らい、果ては酒に関わる仕事(酒ジャーナリスト)をするようになった人です。それが「コロナ過で、自粛する機会が増え、家で飲む機会が多くなり、酒量も増え、これで良いのかと考え込むようになった」ということでした。そして、そのことをきっかけにして、「どれぐらい飲めばどんな病気のリスクがどれほど上がるのか、なるべく正確に把握したい」と考え、「世の酒好き代表して、さまざまな病気のスペシャリストや、酒の人体への影響について研究する専門家のもとを訪ね、その専門的知見をできるだけ分かりやすく解説してもらった」それをまとめたのがこの本とのことです。その中には、「お酒をやめられない人は、往々にして飲酒のデメリットへの認識不足があります。日本では『酒は百薬の長』という言葉がいまだにしんじられていることからも、その認識の甘さがよく分かります。お酒は『嗜好品』ではなく、脳や体へ影響を及ぼす『薬物』であることを理解しましょう。アルコールはモルヒネと同等の依存性があるというデータもあります」と書かれてあります。その他、「飲む前に読む飲酒の科学」「がんのリスクは酒でどれぐらい上がるか」「酒と免疫」などが目次です。
物事を変えていく力
長々と本の紹介をしましたが、酒好きには怖い話、酒を飲まない人には、必要のない話と叱られるかもしれません。しかし、話に飛躍があるかもしれませんが、この本から学んだことの一つは、物事を考え、行動に移し、自分を変えていくためには、その本質や仕組みを認識(知)し、理解しないと、始まらないということです。
最近の風潮は、SNSやテレビ、新聞で日々流されていることを、あたりまえのように受け取り、信じ、同調していくことが多いように感じます。様々な視点から、その本質や仕組みを認識し、理解しないで、多くの人が流されているように思えてなりません。
「日本の障害者福祉はどうして貧しいのだろうか」「どうしてこんなにも貧富の差があるのだろうか」など、日本の社会は変えていかなければならないことだらけです。そのためには、その本質や仕組みを学び、よく理解することから始めなければならないです。これからも、こぶしの会は、学び、知り、理解する努力を仲間、家族、職員、そして後援会のみなさんと一緒に行っていきたいと思います。