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こぶし通信 51号 2020年8月発行
こぶしの会をめぐるいくつかのこと
社会福祉法人こぶしの会 理事長 坂下伸一
<新型コロナウイルス感染症のこと>
今年3月ごろからの新型コロナウイルス感染拡大により、こぶしの会の事業や運営を大きく変更せざるを得なかったことは、誰もが周知のことです。その中で「こッから、ここに・すたあと」の日中事業を休止したこと、「ぐうぐうハウス・ひまわり」2つのグループホームを基本閉鎖し、実家がある仲間は帰宅する措置を取ったことです。法人としても苦渋の決断だったのですが、感染拡大という状況を踏まえ、仲間の命と健康を守ることを最優先しました。その後の経過はご存知の通りですが、コロナウイルス感染が当面は収まる事は無いという事です。今後は、出来る限り通常の事業や運営を行いながら、感染対策を徹底すること、実際に感染者が出た場合の対策マニュアルを作成すること等が必要ではないかと考え、進めています。
<仲間や家族の不安な思いや願いを踏まえ>
さて、こうした一連の対応は、仲間・家族に身体的にも、精神的にも大きな困難と不安をもたらしたことは言うまでもありません。ところが、こぶしの会の仲間たちは、自分なりに納得し、うまく対応したように見えました。また、家族のみなさんは、こぶしの会の方針にあわせ、協力してくださいました。
しかし、仲間や家族のこうした姿を、私たちは「仲間や家族はすごいね、ありがたいね」と一面的に受け取って良いのでしょうか。仲間や家族の心の奥にある不安な思いや願いを受け取る必要があるのではないでしょうか。今後の新型コロナウイルス感染対応・対策は、こうしたことを踏まえたものにしなければならないと痛感しています。
<新グループホーム(GH)完成・開所>
新型コロナウイルス感染拡大の中で、新GH建設の遅れを心配しましたが、影響はほとんどなくほぼ順調に進みました。GHの外枠の形が見えたり、建設途中の内部をみせてもらったりすると、楽しく暮らす仲間の姿や働く職員の姿が浮かびます。
今回のGHは、仲間のまるごとの暮らしや仲間が年齢を重ねても支えられるために、その第1歩として建設したものです。今後は、新GH第2棟目の建設、既存の2つのGHの改修、移転をどう進めていくのかが課題となっています。
当然、資金面の問題もありますが、こぶしの会の仲間が学校卒業後から年老いていくまでを支える居場所を広げていきたいと考えています。
<力を合わせ、制度変更を>
新型コロナウイルス感染拡大と新GH建設を進めるにつけ、「障害者福祉報酬の日払い方式、加算方式」等の制度変更が喫緊の課題だと感じます。
感染拡大に関連して、奈良県障害者福祉連合協議会、奈良市障害者施設長会議、きょうされん奈良支部等多くの障害者関係団体が奈良県や奈良市に要求・要望を行ったことで、行政が制度の枠を超えて、障害のある人や家族、事業所へ柔軟な支援を行ったり、補正予算を組んだりしています。国の障害者制度を変えていくのは、そう簡単ではないことはよく理解していますが、障害のある人、家族を中心に多くの事業者や障害者関係団体が、一致点を作り、力を合わせていくことで、少なくとも行政の障害のある人への対応が変化し、制度変更が進んでいくのではないでしょうか。今回の新型コロナウイルス感染拡大は、私たちに「みんなで力を合わせ、すすめていくこと」の大切さを改めて示してくれたように思います。
(7月上旬記)