こぶし通信 37号 2014年02月発行


 

新しい年を迎えてこぶしの会は…

社会福祉法人こぶしの会 理事長 藤井正紀

2014年の新年を迎え、午年にちなんで大きな飛躍をと思ってるうちにもう2月の声を聞くころになりました。日を過ぎる速さに戸惑う日々ですが、今年も着実に進みたいと思っています。 こぶしの会の今年の大きな目標は、法人や各施設の5年から10年先の中長期的目標を定めることになっており、いろんな部門で議論を進めていきます。 国の政策上の課題では、「障害者の権利に関する条約」(国連・障害者の権利条約)比准が実現しましたが、この権利条約の精神に恥じないような政策や課題を実際の生活の中に実現できる施策が求められます。
特に政府や国会への働きがけが、きょうされんやJDF(日本障害者協議会)の運動により、大きく展開されるでしょう。県内では、奈良県議会に対して提出されていた「差別禁止条例を求める請願」や「精神障害者の医療制度の充実を求める請願」が昨年12月の県議会で採択され、県の障害者政策での実現が期待されます。 我々も多くの障害者団体や障害者関係者とともに運動を進めていきたいと思っています。
しかしこれらの運動や課題の実現にはマイナスとなる要因も多くあります。特に最近の政府の社会福祉の理念の否定や軽視の姿勢とは大きく対立することになるでしょう。また世間の障害者問題に対する無理解や無関心という課題や地域生活の面からみると家族中心の障害者支援という実態があり、我々にとっての課題も少なくありません。 改めて、「障害者の権利条約」についての私なりの解釈を書いておきます。
「障害者の権利条約」批准の一番大切な理念は「私たち抜きに私たちことを決めないで!」と「障害の持たない他の市民との平等を」という2つの基本的な考え方です。これらの考え方は世界の国々でも、日本の政府でも、都道府県や市町村でも貫いていくべきものです。また行政レベルだけでなく、こぶしの会のような障害者事業所や障害者を抱えている家庭や地域でも大切にするべき課題です。
「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」はこれまでの行政や法律や施策の決定のやり方そのものを再検討するものです。いくら障害者のための施策であっても、障害の持たない人のみが中心になって決めていたこれまでのやり方を問い直すものです。障害者施策の決定段階で障害者を排除するシステムをやめ、障害者の意見を聞くことを求めています。しかしこのやり方を貫き通すのはなかなか難しい課題です。
こぶしの会の重要な決定は理事会と評議員会ですが、当法人では障害者家族の代表と障害当事者の参加を保障しています。法人側で努力していることは、会議の参加だけではなく内容を障害当事者にもわかるやり方を工夫しています。障害者事業所である「こッから」や「ここに」には仲間自治体が組織され、当事者の意見集約が行われています。
また、きょうされん奈良支部では当事者たちが自主的な団体である「あかつき」を組織し自分たちの要求や意見を基した会合を行っています。これらの実践は目立たない地味な活動ですがとても大切なものだと考えています。
きょうされん奈良支部では独自で奈良県との話し合いを毎年行っており、県内でも重要な取り組みだと思います。

 

「こぶし通信」の詳細は下記のPDFファイルをクリック

こぶし通信36
「こぶし通信37号」

閉じる