こぶし通信 33号 2012年04月発行


 

10周年記念事業を終えて…

社会福祉法人こぶしの会 理事長 藤井正紀

  1月29日の記念式典をもって、こぶしの 会の10周年記念行事がすべて終わり、少しほっとし ています。 しかしこれからのことを思うと複雑な 気持ちになります。というのも、新しい障害者総合 支援法案が平成25年4月に施行というものの、先日 発表されたものは自立支援法の焼き直しで、障害者 権利条約や自立支援法違憲訴訟の基本合意から大き く外れ、原告団の小山冨士夫氏は「約束がちがう」 と国に怒りの声を上げています。  障害者問題では国の制度(法律)が重要で、この 新しい法律が今後の障害者の就職や経済生活、年金 や暮らしの問題に大きな影響を与えるだけに、障害 者の立場に立ったものになるよう、我々は今後とも 運動を続けていかなくてはなりません。

   さてこぶしの会のあり方ですが、いろん なことを考えなければなりません。こッから・ここ に・すたぁとでの日中活動は、仕事、就職、工賃ア ップのために努力してきましたが、今後これらが大 幅に進むかといえばそうではありません。それどこ ろか年齢の進行とともに仕事以外の課題、仕事の規 則やルール問題、小遣い管理や買い物・趣味、健康 問題、他人との交流や自分探し、休日の過ごし方等 などが大きな課題となるでしょう。ヘルパーやケア ホームや日中一時預かり等の居宅事業でも、そのニ ーズは増え、その内容もただ預かって夕食の世話を するとかみんなで共同生活するだけでなく夜間や休 日の過ごし方を充実させ、豊かな生活を保障してい くことが問われることになるでしょう。  こぶしの会でもこれらの状況に対応する努力を行 いますが、職員だけが努力するというのは少し違う のではと思います。というのは、そのような立場は、障害者は常にサービスを要求し受ける側、職員はサー ビスを与える側という一方通行のシステムになってい ます。しかし、こぶしの会のこれまでの経験からみて も仲間や集団での粘り強い取組みで、協力しあったり、 援助する障害者を多く見てきました。サービスという ものも決して一方通行ではなく、相互通行もあるので す。またそのように他の障害者の援助をする障害者の 表情は明るく、人間的な援助をしてくれていることが 多いのです。  障害者とその家族の関係でも同じことが言えるので はないでしょうか。家庭のなかでの障害者は常に世話 を受ける側、また親と子供という一方通行的な関係が 強いとも考えられます。ここにも相互通行的な考えを 持ち込むことが必要なのではと思います。複数の家族 同士の関係を持ち交流を深めてみてはどうなのか?障 害を持つ子どもを見直しては?

  こぶしの会と障害者、こぶしの会と家族、こ ぶしの会と職員などの関係がそれぞれ一方通行の関係 からお互いの相互通行の関係も作り上げていく、そし てお互いに楽しいことを共有してみる、経験を交流し てみる、時には小旅行とか、こぶしの会やこッからで の楽しい企画を計画してみるなどいろいろやれること はありそうです。  新しい法律への不安や不信感、またはそれへの期待 が揺れ惑う中、現実の生活や暮らしにしっかりと根を 下ろし、障害を持つ人たちとの新たな関係をつくろう ではありませんか。それがこぶしの会の中での「未来 作り」になるのではと思います。

 

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