社会福祉法人こぶしの会理事長 藤井正紀
こぶしの会も2010年度を迎え、新しい体制でのスタートを切りました。今年の新しさは、2名の仲間と2名の指導員を迎えたことと障害者雇用を試験的に行ったことで、その他仕事や班編成などは今までどおりです。しかし、内容的にはいろいろな変化やチャレンジを考えていますので、そのことを書いておこうと思います。
第1は、昨年を振り返り次年度を見越した実践課題を見つけ、十周年をめざした取り組みを行います。その内容は自立支援法訴訟やきょうされん運動の経験から、ものごとの目標を決めそれを持続的、組織的に取り組む〈運動〉をしっかり行うことを考えています。
第2は、運動の内容ですが、「障害者の地域生活」と「障害者の望む人間らしい生活自立」の二つの生活確立運動を中心にします。自分のやりたいことしたい、毎日楽しく仕事や生活がしたい、給料を上げてほしい、仲間といろんな遊びがしたい、楽しい旅行や行事がしたい、親や兄弟や他人のことを考えたいなどなど仲間の夢は無限にあります。
第3は、これらの望みを実現するためには施設の課題は何でしょうか。まず、障害者が自分を出し、自分の願いを一つ一つ可能にすることも必要でしょう。またそんなことを話し合ったりする場や人の意見を聞く場も必要でしょう。他人や社会に訴えることも必要でしょう。また社会の側も障害者の意見や訴えを聞く態度や姿勢も必要でしょう。またこのような運動を実行する組織や時にはそのための費用や資金も必要になるでしょう。こぶしの会としては次のような課題をあげその運動に取り組みます。ベターライフ(良い生活をめざす〉運動とクオリティ・ディスカバリー又はディスカバァリー・アゲイン(価値の再発見)運動の二つがその内容です。
「良い生活運動」とは、仲間の生活を見直し、単に給料を上げたらいいのではなく給料をどのように使うか、何をしたいのか、また仕事だけではなく仲間との生活上での交流や経験の積み重ね、旅行や行事の企画や実行など仲間の生活を見直し、障害者自らがそれを向上させることを目指します。
「価値の再発見運動」とは、障害ゆえに、しゃべれない、意思疎通ができない、我慢が出来ない、パニックになる、同じことをくり返すなどなどすべての仲間はそういうマイナス面を持っています。しかしこれは仲間の人間の一部分でしかありません。我々が気づいていないか、見落としている素晴らしい面も多くあることが、数年間のこぶしの会の実践の中で明らかになっています。人としての素晴らしさを仲間の中で見つけ、それを評価し、励まし、援助するなど、それらを生かす仕事の開発などを試みてみようという運動です。
これらの二つの運動は、<言うはやさしく、行うは難しい>課題です。しかし、障害者施設の職員としての力の見せ所でもあります。あせらず、くじけず、中長期目標として地道に実践を行うつもりです。また、このために今年度は施設の近くに借家と世話人を確保し、ショートステイや日中一時支援を中心とした活動の拠点にします。また来年度のこッから開所10周年に向けてこの運動を推進したいと考えています。
「こぶし通信27号」 |