地域とともに歩む施設づくり… こッからCOLOR 社会福祉法人こぶしの会

こぶし通信 60号 2024年8月発行

2024/09/27 こぶし通信

「人間らしさ」ということにこだわって

社会福祉法人こぶしの会 理事長 坂下伸一

なぜ働いていると本が読めなくなるのか
 最近、集英社新書から三宅香帆著「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」という本がでました。同じような思いをもっていたので、本を買ってしまいました。
その本には
 「『大好きな俳優の舞台を見に行くこと』『家族と一緒にゆっくり時間を過ごすこと』『行きたい場所へ旅行に行くこと』……自分の人生にとって大切な、文化的時間というものがあるでしょう。そしてそれらは、決して労働の疲労によって奪われていいものではない。」
 「仕事をただ長時間こなすだけのマシーンではなく、文化的な生活をしてこそ、人間らしい生き方をしていると言えるのではないでしょうか。現代の労働は、労働以外の時間を犠牲にすることで成立している。」
 教員を退職した後は、楽しく本を読むことができていたのですが、最近は、少し仕事が忙しくなって、買った本は「積読」になっています。だからといって、仕事が嫌ではないのですが、私自身、人間らしい生き方ができているのかと考えてしまいます。

いのちのとりで裁判
 生活保護の基準が下げられたことをめぐって、「引き下げられれば、生活することができない」という切実な訴えから始まった裁判が「生活保護基準引き下げ違憲訴訟・いのちのとりで裁判」です。
 日本では、生活保護を受けることを「恥じる」という思想が根強く残っています。日本国憲法第25条は、日本国民に対して「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しています。ですから、必要な場合に生活保護を申請することは、国民の当然の権利なのです。
 それと共に、「健康で文化的な最低限度の生活」とは何かという生活の質を考える必要があるように思います。衣食住だけが保証されていれば、それでよいのでしょうか。
「旅行に出かけたり、映画を観たり、友達とご飯を食べたり等」は、贅沢なことなのでしょうか。この裁判でも「人間らしい生活」とは何なのかが鋭く問われているように思います。

人間らしさにこだわって
 「人間らしさ」という言葉は、いろいろに解釈されたり、意味を持ったりすることばです。私自身は、「人間も動物なのだが、他の動物と区別する人間だけが固有にもっている活動」と理解しています。文化・芸術などは、人間らしい活動の最たるものだと思います。
 日本の現実は、子どもたちを見ると「勉強して、点を取ることが一番」、大人をみると「怠けず働くことが一番」好きな活動や楽しむ活動は、時間があればするものとなっているように思えてなりません。勉強すること、働くことが良くないと言っているわけではないですが、人間らしい生活はどこにあるのでしょうか。
 こッからでは、昨年から仲間たちが楽しんで取り組む文化・芸術的活動、身体的活動など、人間らしいということにこだわり、そうした視点から仲間の活動を創り出し、私たちの活動を見直すことが必要だと思っています。
 これからも私自身は、「人間らしい」にこだわり続けていきたいと思っています。

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