地域とともに歩む施設づくり… こッからCOLOR 社会福祉法人こぶしの会

こぶし通信 40号 2015年4月発行

2015/04/01 こぶし通信

障害者の暮らしや楽しみを守り充実した人生を推し進めるために、年金や社会保障予算の切り下げに反対し対抗するために

社会福祉法人こぶしの会 理事長 藤井正紀

 2015年の春を迎え、こぶしの会も13年目がスタートしました。
各事業所とも、新たな気持ちで取り組みを行うよう頑張っています。しかし、障害者と障害者事業所にとっては、年金の引き下げなど社会保障予算の削減は9項目で削減額は3900億円となります。消費税増税は社会保障のために使うと約束とは全く逆のことになり、春の陽気とは裏腹に、大変厳しい幕開けとなりました。
思えば2002年の春に、それまでの小さな作業所から抜け出し、「こッから」という障害者の働く施設を立ち上げ、またしっかりとした経営を目指す、社会福祉法人としての出発をしたのです。
そしてこの事業所で共に働く仲間たちの工賃アップをはかり、年金と合わせて、月額10万円を目指そうと努力してきました。
その後、道のり半ばで2回、3回と制度がかわりその変化に対応する日々が続きました。
そして今回の「消費税のアップ」や「税と社会保障の一体改革」、社会福祉事業所に対する「報酬改定」は、こぶしの会などの社会福祉法人の経営努力をないがしろにするもので、社会福祉制度の全面的な後退と言わざるをえません。今回の社会福祉制度等の見直しで、大きな問題と思えることは次の点です。

第1は、これまで社会福祉法人の運営とその発展のために行ってきた、各種の税金免除を廃止し課税する方向を打ち出したことです。
第2は、職員の退職金のために、国や地方公共団体が行ってきた退職手当共済の助成を廃止し、法人が全額負担するようにしていることです。
第3に、給食提供加算などの加算制度の減額をおこなうとしていることです。
第4に、これらの措置で、国の補助をへらし法人と利用者の負担を増やそうとしているのです。

例えば給食提供加算の減額では、給食費の値上げをするか、値上げをしないのであれば法人は収入の減額を我慢することになります。
さらに、今後は、給食提供加算そのものをゼロにすることも検討されているようです。
仲間の送迎費用についても、こぶしの会ではバス利用者や個別送迎者の個人負担を極力低くおさえてきましたが、法人の事業利益が減ったり、赤字になるとこれらの措置もできなくなります。
これらの措置を行なうためには、法人の財政はとても大事です。こぶしの会は、財政問題にも努力し赤字経営にならないように、「障害者が主人公」とする理念のもとに、様々な対策を取ってきました。
今回の国の措置は、法人への財政的な締め付けを行い、小さな法人や赤字経営法人には、他の法人との合併なども検討しているのです。国は、これらの事を合理化するため、社会福祉法人の一部の大きな法人が利益を上げ、高額の内部留保金を貯め込んでいることを理由にして、多くの法人への補助金等をカットし、法人の利益を「地域公益事業」という形で、他の社会福祉事業に使わせようとしているのです。

さて、社会福祉法人やサービス事業を利用している障害者やその家族はこれにどう対処していけばいいのでしょうか? 今日の国の政治状況を見ると現政権が圧倒的多数を占め、政権与党のやりたい放題ですし、今後は悪くなることはあっても、社会保障や障害者制度が良くなることは期待できません。
この状況を変えるにはどうしたらいいのでしょうか。私はこのような状況でもあきらめてはいけないと思います。

一つには、昨年度に障害者の権利条約が批准され、国連は、各国の政府に対して、この条約の指し示す制度や取り組みを、定期的に報告する義務を課しています。日本政府の障害者政策の後退ということは、国際的にも許されない仕組みになっており、これをバックに運動と世論作りを行うことが必要です。二つには、社会保障制度や障害者政策を担っている団体(社会福祉法人やNPO法人、各種の障害者団体)や個人(障害者自身やその家族や学識経験者や研究者)が手を結びあい、願いや要求の声を上げ、地域から運動をおこし、国の障害者政策の不備や不満を訴え、国民的な支持や同意を得て政府にあたることが必要でしょう。
三つには、障害者の生活の最終的な解決は、障害者の親や家族が持たざるを得ませんが、それでも親や家族が個人的な問題として抱えてしまわないことです。

また親や家族はなるべく、いまあるサービス事業を積極的に利用して障害者同士のつながりを強め、また家族同士のつながりも強めていかねばなりません。

また、私たち法人関係者も、障害種別ごとの団体や種別が違っても同じ障害者団体等との連携を強め、障害者の声をあつめ地域や国に訴えることが必要でしょう。そして政府や国の政策の誤りや矛盾を突き、社会福祉制度や障害者政策を重視しないと、障害者や世論から見放されるという状況をつくることが大切です。

そして障害者の人格や人権を大切にするために、お金も知恵も工夫して使い、社会的弱者にも生きる希望と夢が持てるような社会にしたいものです。
現在、こぶしの会には4つの他団体の事務所があり、共に運動を進めています。また、運動だけではなくこぶしの会の経営も安定させ、障害者団体や障害者・家族のために一層の努力を行いたいと思います。

「こぶし通信」の詳細は下記のPDFファイルをクリック

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